ａｒｉｇａｔｏ 〜 ドライブの記憶 最終話 〜
祖父にありがとう。たくさん蘇る祖父との思い出・・・
つらい出来事だったけれど、たくさんのありがとうが生まれた。
祖母にありがとう。ずっと祖父の看病をし続けた祖母。
ずっと連れ添った人のあんな苦しそうな姿を横で見るのは、
どんなに辛かっただろう。。
そして、母にありがとう。
祖父の最期に会いに行くこのドライブは、
私がどんなに母を大事に思っているか認識させてくれた。
このドライブがなかったら、こんなに大切に思っていると
気が付かなかったかもしれない。
この祖父の不幸の直後、母がＣ型肝炎に感染していることが判明する。
原因はひとつ。
私を出産するときに輸血したこと。
いろんなことがあって、私は思った。
失ってから気づくのでは遅いんだと。
そんなの当たり前なんだろうけれど、
今なら間に合う。気が付いてよかった。
辛い治療を乗り越えて、母は完治した。
けど、母だけではない。祖母も妹も恋人も友達も、
私自身も。生きていることが当たり前ではないんだ。
今日の帰り道、事故に遭うかもしれない。
当然だけど、車は今から轢きますよ〜って教えてくれない。
自分も今から轢かれますよ〜とも分からない。
死は突然訪れる可能性が”当然”ある。
大震災が起こって、家族に会えないまま私が死ぬかもしれないし、
家族が死ぬかもしれない。
起きてからでは遅いこともある。
そんなことに当たり前なことが今まで認識できていなかった。
失ったとき、ありがとうと言っていないことが一番辛いこと。
たくさんの大切な人にきちんとありがとうと伝えて、
別れを迎えていきたい。
【大切の語源・由来】
大切は「緊急を要するさま」から意味が派生し、平安末期には「肝要なさま」の意味で用いられた。
中世には「かけがえのないもの」の意味から、「心から愛する」意味としても使われるようになり、
1603年『日葡辞書』では「大切」が「愛」と訳されている。
（語源由来辞典より http://gogen-allguide.com/ta/taisetsu.html）
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